ファクタリングで実際にV字回復した企業のリアルな声をお届け。資金繰りの危機をどう乗り越え、事業を成長させたのか、具体的な成功イメージが掴めます。

著者情報

日本経済を見つめ続けた眼差し

紙媒体が情報伝達の王道だった時代から、日本経済の最前線で取材を続けてきた篠田正樹。バブル経済の熱狂とその崩壊、長い停滞期間、そしてリーマンショックという激動の時代を、記者としての鋭い視点で見つめ続けてきた叩き上げのジャーナリストである。中小企業の経営戦略や事業再生を主なテーマとし、独立後はファクタリングなどの金融手法を駆使した企業再生事例を深掘りする記事で定評がある。一見淡々とした筆致の中に、取材対象への深い敬意と共感が滲み出る温かみのある文章は、多くの読者から支持されている。経営者たちの生の声を拾い上げ、その苦悩と決断の背景にある人間ドラマを描き出す彼の記事は、まるでドキュメンタリー映画を見ているかのような臨場感を生み出す。

記者から独立ライターへの道程

早稲田大学政治経済学部を1988年に卒業後、篠田は大手経済出版社に入社。約20年にわたり経済記者として腕を磨いた。主に中小企業の経営戦略や財務、事業再生の分野を担当し、数多くの経営者インタビューや企業ルポルタージュを手掛けてきた。

40代後半で大きな決断を下す。「大組織の論理ではなく、もっと個々の企業の息遣いや、経営者の生の声に寄り添った記事を書きたい」という思いから、フリーランスの経済ライターとして独立。以来、東京から横浜に移住し、特に資金調達に苦しむ中小企業の再生事例や、新たな金融手法の動向などを精力的に取材・執筆している。

専門領域と独自の強み

篠田の専門性は、長年の取材経験によって培われた中小企業金融と事業再生の領域にある。特にファクタリングなどの現代的な金融手法について深い知見を有し、その実務的な活用法や成功事例を数多く取材している。

彼の強みは以下の3点に集約される:

  • 深い洞察力: 30年以上の経済取材によって培われた複眼的視点
  • 本音を引き出すインタビュー術: 経営者が普段は語らない決断の裏側にある葛藤や思いを言語化させる能力
  • 物語る筆力: 複雑な経済事象や経営判断を、読者にとって理解しやすく、感情移入できる形で描写する文章力

取材哲学と執筆スタイル

「事実は小説より奇なり、とはよく言ったものでね」と、取材の合間にコーヒーを啜りながら呟く姿が印象的な篠田。彼のライティングには一貫した信念がある。

表面的な成功物語ではなく、そこに至るまでの苦悩、葛藤、そして決断の背景にある人間ドラマを丹念に描き出すこと。取材においては公的データや決算書の読み込みはもちろんのこと、何よりも経営者本人や従業員、時には取引先にも足を運び、時間をかけた対面取材を重視する。

推敲もじっくりと時間をかけ、言葉の一つひとつに魂を込める姿勢は、デジタルメディア全盛の現代においても変わらない。「ファクタリングでV字回復、という華々しい見出しの裏には、血の滲むような努力と、いくつもの眠れない夜があったはず。その温度感を読者に届けられなければ、実録とは言えない」という彼の言葉には、ジャーナリストとしての矜持が表れている。

記者の顔の向こう側

週末になると篠田は都会の喧騒を離れ、渓流釣りに出かける。静かに流れと向き合う時間は、複雑な情報を整理し、記事の構成を練る上で欠かせない時間だという。

「魚を追いかけるように、本質を追いかける」というのが彼の座右の銘。取材で得た情報の断片を編み上げ、一本の物語として完成させる過程は、渓流で魚の動きを読み、最適な場所に糸を投げ入れることに似ているのかもしれない。

影響を受けたのは、故・本田宗一郎氏のチャレンジ精神に関する書籍と、駆け出しの頃に指導を受けた鬼編集長の「事実は足で稼げ」という言葉だ。この教えは今も彼の取材スタイルの基礎となっている。

東京都杉並区出身、現在は神奈川県横浜市に居を構え、妻と二人で静かな日々を過ごしている。

主な実績と功績

  • 大手経済誌で20年以上にわたり記者・編集者として活動
  • 中小企業経営戦略や事業再生に関する記事を200本以上執筆
  • 全国の金融機関や経営者向けセミナーでの講演多数
  • 中小企業庁主催の事業再生事例集の執筆協力
  • 経済誌「エコノミスト」「東洋経済」等への寄稿
  • ビジネス書『再生の条件 ―中小企業が蘇るとき―』の著者
  • 財務省関連の研究会委員を歴任
  • 日本経済ジャーナリスト協会会員

読者の皆さんへ

ファクタリングについて、篠田はこう語る。「かつては『最後の手段』というイメージも一部にはあったが、近年はその迅速性や柔軟性が再評価され、特に変化の激しい現代においては有効な資金調達オプションの一つだ。ただし、どんな金融手法も万能薬ではない」

彼が記事を通じて伝えたいのは、ファクタリングという手法そのものの解説だけではない。「なぜその企業がファクタリングを選び、それがどう事業再生に繋がったのか。その『なぜ』と『どうやって』を、経営者の言葉を通して、嘘偽りなく伝えたい」という思いがある。

最新のFintechやオンラインサービスに関する知識は若手ほどではないと自らを戒めつつも、変化に対応するために日々学び続ける姿勢を忘れない。長年の記者生活で培った「事実を足で稼ぐ」という姿勢と、デジタル時代の新しい知識を融合させながら、これからも中小企業の現場から生の声を届けていく。

篠田の目には、長年現場を見続けてきた者だけが持つ、確かな光が宿っている。その眼差しが捉えた経済の実相と人間ドラマを、これからも読者に届けていくだろう。